お世話になっております。
日本エレクトロセンサリデバイス株式会社 竹迫です。
今回のお題は・・・
カラーカメラの使い時
秋も深まり・・・という感じですね。
今年の冬は寒くなる予報がでているようですが、
この秋は本当に急に気温が下がったので、家族全員で鼻をぐずぐず言わせていました。
コロナもあるので、発熱すると病院受診が一苦労ですしね・・・。
皆様もお風邪などひかれませんよう、お気を付けください。
今回のテーマは「モノクロカメラとカラーカメラの違い」です。
最近はカラー画像は当たり前、動画すら当たり前、という世界になってきたので、
カラーであることにあまり特別感がないとは思いますが、産業用カメラでカラー画像を撮るという場合、
必要性をよく検討し、本当に必要なら使いましょう!となることが多いです。
というのも、カラーカメラにしたとき特有の問題があったり、ラインカメラだとぐっとデータ量が増えたりして、
いろいろと気を遣うべきポイントが出てくるからです。
ということで、今回はモノクロとカラーで何が変わるのか、問題点と気を付けるポイントを解説していきます。
目次
カラーカメラの仕組み
以前
撮像素子のお話
をしましたが、
カラーの撮像素子は存在するものの、あまり主流ではありません。
多くのカラーカメラは、モノクロの撮像素子の上のフィルタによって、その色の光だけを受光するようにしています。
撮像素子自体の仕組みが違うわけではありません。そのためフィルタの配置にいくつか種類があります。
2ライン
(Bayer)
2つのラインセンサの上に、赤/緑/青のフィルタが交互に並んでいます。
人の視感度が緑に対して高いため、緑の占める割合が多くなっています。
フィルタの並べ方はセンサメーカーによって違いがあったりします。
輝度差のあるエッジ部分で偽色が生じるため、補間データを生成して偽色を低減します
3ライン
各ラインセンサの上にそれぞれ赤/緑/青のフィルタがあり、3つのラインセンサを並べています。
モノクロセンサを加えた4ラインのものもあります。
各ラインの場所のずれを調整するためにラインディレイ機能がついています。
この方式の場合、データ量がモノクロ1ラインカメラに比べて3倍になりますので、
転送速度や画像処理側のメモリー容量にも注意が必要です!
3板式
上3つとは全く違う仕組みによるカラーカメラです。
プリズムで画像をRGBに分けてそれぞれをモノクロセンサで撮像します。
被写体の同じ場所をRGBそれぞれが同時に撮像するように調整されているので、偽色や色ずれという問題は起こりません。
こちらもセンサーの数がモノクロ1ラインカメラの3倍なので、データ量3倍になります。
転送速度や画像処理側のメモリー容量に注意です。
上記はカラーのラインカメラの仕組みですが、エリアカメラも同様です。
エリアカメラはBayerと3板式の二つがあり、Bayerでは偽色がでる可能性があるのも同じ。
ということで、次はカラーカメラで発生する問題点を解説していきます。
偽色や色ずれの補正機能
さきほど解説した通り、カラーカメラは画素ごとに受光する光の色が違うので、
受光していない色の変化がその画素の担当部分で起きても捉えることができません。
そのため、対象物の色が変化するエッジ部分で「偽色」と呼ばれる現象が生じます。
赤センサで認識する
光量が少ないため、
偽色がでる
青センサで認識する
光量が少ないため、
偽色がでる
補正前
上の「a」の文字の端部が、黒じゃなく青や赤になっているのが偽色ですね。
現在Bayerのカラーカメラほぼすべてに、こういった偽色を補正する機能が搭載されています。
計算式はややこし過ぎるので割愛しますが、
基本的には「担当している部分の輝度値の平均を、担当していない部分に割り振る処理」と
理解していただければよいかと思います。
補正後
上の「a」の文字の端部、若干ましになっているのわかりますか?
こういった小さな処理の積み重ねが、普段私たちが見ている鮮明なカラー画像の裏に隠れているのです。
ちなみに、3ラインのカラーラインスキャンカメラは偽色ではなく色ずれが起こりますので、
ラインディレイ機能という補正機能を使って調整します。
同じ位置で3つのデータが重なるよう、delayパラメータを設定
カラーカメラ要注意ポイント
一口にカラーカメラといっても、仕組みの違いによってできないことがあったり、
違う仕組みのカラーカメラにした方がよいよ!という場合があったり、
検討いただくときに知っておいていただきたいことがありますので、そちらについてまとめました。
3ラインは円筒形検査NG!
ラインスキャンカメラの得意分野、円筒形検査ですが、3ラインのカラーカメラは円筒形検査には使えません。
側面のRや表面のゆがみによって、色ずれ補正がうまくいかなくなるためです。
円筒形検査を行うときはBayerか3板式のカラーカメラを使ってください。
(Bayerもズレはあるのですが、使用可能な範囲であることが多いです)
若干のゆがみで
色ずれ補正が
ずれてしまう
3板式はレンズ選びを慎重に
3板式のカラーカメラは補正なしで色ずれがおこらない!というのがウリですが、
カメラで起こらなくてもレンズで起こってしまうことがあります。
というのも、レンズには色収差というものがありまして、端のほうで色ずれが起こる可能性があるのです。
色の波長で
レンズの端部に
色ずれが起こってしまう
せっかくお高めのカメラを選んだのですから、色ずれなしで撮れるように、
できるだけ色収差の少ないレンズ(レンズのスペック表に必ず書いてあります)を選んでください。
3板式は大きさ注意!
3板式のカラーカメラは内部にプリズムが入っていますので、Bayer, 3Lineのカラーカメラに比べて大きいです。
取付段階になって入らない!とならないように、外寸は必ずチェックしてください。
カラーカメラの使い時
色の違いをとらえたいときはカラーカメラが必要ですが、
赤のものを撮りたいときに必ずカラーカメラが必要か、というとそうではありません。
例えば白地に赤い点があって、その有無をとらえたいときはモノクロカメラで十分です。
じゃあどういうときにカラーカメラ使うの?ということで、カラーカメラの使い時、例を挙げてみました。
欠陥の色によって対応が違う場合
印刷検査によくあるパターンなのですが、青の欠陥→A工程、赤の欠陥→B工程という感じで、
色によって工程が分かれるパターンの時はカラーカメラが必要になります。
印刷検査では色ずれ検査などもあるので、カラーカメラを採用いただくことが多いです。
他には「傷(素材色)と錆(茶色)を分けたい」といったご要望の時はカラーが必要です。
傷と錆でNG基準が一律・後工程が同じならモノクロで問題ないのですが、
傷ならNG、錆なら錆落とし工程へ、など対応が分かれる場合は、やはりカラーカメラが必要になってきます。
ゴミ・汚れと傷・へこみを分けたい場合
これは普通にカラーで撮影する場合と、カラーカメラならではの一工夫加えたパターンとがあります。
普通に撮影する場合は、指紋やほこりと製品傷とを分けるパターン。
だいたい指紋やほこりは白っぽくて、製品傷は素材色(色付き)なので、カラーで撮れば一発で分けられます。
工夫パターンは色付き照明を利用します。
照明の当てる角度を色によって変えることで、RGBそれぞれのセンサーがとらえるものを変えます。
傷は青、ごみは赤の照明で写すようにセットするとうまくいくことが多いです!
三板式or3ラインカラーカメラ
AIを使用する場合
AIの学習精度がいまいち上がらない・・・という方、カラー画像で学習させるとよくなる可能性ありますよ!
というのも、仕組みのところでも触れましたが、3ラインや3板式のカラーカメラ画像は、
1ピクセル当たりのデータ量が約3倍になるため、精度も3倍になる可能性があります。
なぜ「可能性」という言葉を使うかというと、AIによっては学習前に画質を落とす処理をしているものがあります。
(速度を確保するため)
そういう場合は単にカラーにしても学習精度がよくならないこともありますので、
AIのメーカーさんに相談してみてください。
オンラインセミナーのご案内
カメラの細かい詳細機能を活用し、検査全体をシステム化していくのは簡単なことではありません。
かといって、丸っとシステム化されたものを導入してうまくいくかというと、そうとも限らないのがつらいところ。
ということで、NEDではカメラメーカーならではの視点で全体をアレンジするトータルソリューションを提案しています。
システム全体をどう考えて構築していくかについて、11月から月1回セミナーでお話していきたいと思います。
概要は下のようになっていますので、ぜひチェックしていただきご参加ください♪
NED 営業小ネタ
この夏はご自身がコロナに罹られた、もしくは身近な方がコロナに罹ったという方、多かったのではないでしょうか。
竹迫も多分に漏れず、7月下旬に主人が、8月下旬に長女が感染し、長女の看病をしていた私もかかりました。
セミナーお申込みいただいていた方は何度か日程変更があり、大変申し訳ありませんでした。
こういった流行り病の類は子供のほうが楽に治る、という通例というかジンクスというか、
そういうものがありますが、体感としてはコロナもそんな感じでした。
夫がかかった時は、1週間ほど、う~んしんどい、すっきりしない・・・という感じでした。
長女は一日半くらいでケロッとして、元気いっぱいに戻ったのですが、
私は薬を飲んだ上で3日位で落ち着いてくるような感じでした。
熱は薬が効いてくれたのですが、咳と鼻は薬で抑えられなくて、そっちがしんどかったです。
軽症者の発症報告が不要になったり、旅行の促進施策が実施されたり、と
経済回復に向けた方向へ舵が切られていますが、
専門家はやはりインフルエンザとのダブル流行を懸念されているようですね。
我が家はまだ1歳の次女がいるので、とりあえず打てるワクチンは全部打つ方向で、
インフル、コロナその他予防接種を着々と進めていきたいと思います。