いつもお世話になっております。日本エレクトロセンサリデバイス株式会社 営業企画室 竹迫です。今回のお題は・・・ 動いているものを撮りたい! そんな時は「ラインスキャンカメラ」 梅雨ですね~。今年は早々に台風もやってきて、梅雨というよりスコールというような雨の降り方も多いですが、皆様の地域は大丈夫でしょうか。災害は突然にやってきますので、備えあれば患いなしの精神で、防災対策やっていきたいですね。さて、メルマガをよく読んでいただいているお客様から、「新人来るから新人特集してよ!」というリクエストをいただきまして、6月から9月まで、「新人応援!撮像×画像処理のキホン」と題して、お届けしようかなと思っております。今回はNEDの本業「ラインスキャンカメラ」についてお届けします。ちなみにNEDも新人を迎えておりまして、本シリーズのたたき台は新人の方にお任せしています。竹迫が若干修正を加えてはいますが、皆様の会社にいらっしゃる新人の方々と同じ目線で記事作成できているのではと思います。ベテランの方々には若干物足りない内容になることがあるかもしれませんが、ご容赦ください。これを読んでくださった新人の方からはぜひ、これを教えてほしい!この情報ほしい!といったご要望、お待ちしています。(届いたメールにそのまま返信すると竹迫に届きます) 産業用カメラとは エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラ センサーの種類 検査事例 産業用カメラとは 産業用カメラは、主に工場や倉庫で「検査:品質の安定化」「計測:正確性の向上 」「識別:作業時間の短縮」などを目的として使用されます。一般的なカメラとの特徴の違いは… 一般消費者向けカメラ • 操作が簡単• 生活環境下での使用耐性• 見た目のきれいな画像撮影 産業用カメラ • 安定した品質• 工場などの環境下で長期間壊れない耐久性• 輝度値として一定の数値を出し続ける正確性 エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラ エリアスキャンカメラ ラインスキャンカメラ センサの形 平面(四角形) 一直線のライン状 撮像方法 1回の撮影で1枚の画を撮ることができる 「静止したもの」の 撮像に特化している カメラ or 対象物が動くことによって平面の画像を作成 「動いているもの」の 撮像に特化している 特徴 撮像・検証が簡単 高速で高画素の検査が可能 用途例 監視・観察・計測・位置決め 外観検査・円筒形検査 2つを対比したうえで、一見エリアスキャンカメラの方が一度で撮像が可能だし楽?簡単?と思いそうですが…用途によってはラインスキャンカメラでなければ対応できない場合があるのです。生産現場では「タクトタイム」が重要視されており、作業を止めずに動かし続けた状態で撮像する必要があります。この、動いている状態でブレずに撮るには、ラインスキャンカメラが適しています。 ラインスキャンカメラの種類 ラインスキャンカメラのセンサー部分は横向きに1ラインに並んでいます。解像度を考えた時に、1ラインに並べられる画素数がエリアスキャンカメラよりも多いため、高速で動くものを高分解能で撮像が可能です。また、ラインスキャンカメラは大きく分けて「シングルライン」「マルチライン」があり、それぞれにモノクロとカラーが存在します。 シングルライン センサが1ラインのみの構造 【モノクロ】ラインスキャンカメラの中で最もシンプルな構造です。 【カラー(点順次)】1つのラインセンサの上に、R赤/G緑/B青のフィルタが並んでいます。 デュアルライン センサが2ライン並んでいる構造 【モノクロ】センサが2ライン並んでおり、それぞれ1ラインごとに出力します。 【カラー(ベイヤー)】2つのラインセンサの上に、R赤/G緑/B青のフィルタが並んでいます。人はの視感度が緑に対して高いため、緑の占める割合が多くなります マルチライン センサが2ライン以上並ぶものをマルチラインと呼びます。ひとつ前で紹介したデュアルラインも、マルチラインの一種です。さらに、TDIという出力方法が異なる機能があります。 マルチラインカメラには、各ラインが同じ位置でデータが重なるように調整するラインディレイ機能がついています。 【モノクロ】センサが2ライン以上ありますが、それぞれ1ラインごとにデジタルデータで出力します。出力後にデータを加算することで、より感度の高い撮像が可能となります。 【カラー(3ライン)】3ラインの場合は、R赤/G緑/B青のフィルタが1ラインずつあります。それ以上になると、モノクロや緑・近赤外など、検査目的に応じて変えることが可能です。 【TDI(Time Delay Integration)】 TDIは各素子ごとで得られたデータを電荷の状態のまま合算することで、より明るく、感度の高い撮像が可能になります。(※明るさ以外にノイズも加算される)カラーカメラは、カラーフィルターを付けることによってモノクロカメラより感度が落ちますが、TDI機能を使えばその弱点を克服できます。また、TDI機能をオフにすると、標準のマルチラインカメラとして使用することができます。 バケツリレーの様に受け渡されていく! 検査事例 幅計測 対象部材(ゴム 鉄 フィルム 紙)などの幅を連続測定 欠点検出 対象部材を連続監視し、穴あきや異物などの欠点部を検出 位置不良検出 対象の位置を監視しズレなどの不良部を検出 個数計数 視野内を通過する対象製品の個数を計数 表面検査装置 対象物の表面を検査し、欠点や異物などを検出 “動いているもの、連続するものを撮像したかった”“ラインスキャンカメラを使ってみたいけれど、どれを選べばいいのか分からない!”という方は、お気軽にNEDにお問い合わせください! 基礎とトレンドをオンラインセミナーで押さえよう! NEDでは、月に1回のペースでオンラインセミナーを開催しています。今回のご案内は、産業用カメラトレンド、7月以降は2カ月にわたって、オンラインセミナーでも新人応援シリーズを開催したいと思います。 直近6月はこちら!NEDが正規代理店を務めるLucid社の方にお話しいただきます。テーマは「マシンビジョンカメラの多様性と発展性」です。インターフェースGigE Visionの今後、そして最新カメララインナップについて、ご紹介いただける予定です。 マシンビジョンカメラの多様性と発展性・カメラインターフェイスの沿革/トレンド ▷2.5GigEと周辺機器 ▷RDMA機能 ▷25GigEと周辺機器・カメラインターフェイス以外のトレンド ▷SWIR,UV,HDR,3D,EVS対象:産業用カメラにご興味のあるお客様日程:6/22 13:30~14:30 お申し込みはこちら お申し込みはこちら 【初心者必見】カメラを使うと何ができる?産業用カメラの用途と種類 ・産業用カメラの特徴・産業用カメラの用途・ラインカメラとエリアカメラの違い・特殊波長を使用したカメラ 対象:産業用カメラにご興味のあるお客様 日程:7/27 13:30~14:30 お申し込みはこちら 【初心者必見】最適な検査効率を目指すには?分解能と検査速度の最適解 ・分解能の考え方・画像とレンズ/照明の関係・インターフェースの種類と特徴・検査効率の最適化とは 対象:産業用カメラにご興味のあるお客様 日程:8/24 13:30~14:30 NED 営業小ネタ 最近話題のChatGPTで、少し気になる記事を見かけました。「日本人はChatGPTの使い方が下手」というものでして、「日本人」でくくるのはどうかと思いつつ、若干納得してしまう部分もあり、色々と考えさせられました。 記事の概要としては、ChatGPTの活用法として、欧米での使用方法はアイディアだしのツール日本だとわからないことを教えてもらうためのツールとして使われているが、ChatGPTの正しい使い方は前者、というものでした。理由として、日本人は鉄腕アトムに代表される「知性のある機械」に親和性が高すぎて、AI=鉄腕アトムになっちゃっているんじゃないの?という話で締めくくられていたのですが、これ、若干でもAIに触れたことがある方はなんとなくわかる感覚ではないかと思います。 AIは「人間が用意する教師データをもとにモデルを作成して、そこから人間ではできないレベルの速さと正確さで答えを探してくれる」というのが特徴なんですよね。 つまり人間が答えを持っていないことについては、AIも答えを持っていないのです。鉄腕アトムに代表されるようなアニメに出てくる「知性のある機械」のレベルにはまだ到達していないわけですね。これは画像処理で使われるAIも同じでして、基本的に人が答えを持っていることについて、神業的な効率で見つけ出してくれるのであって、人が見つけられないものを見つけてくれるわけではありません。 ちなみに日本人の使い方の代表としてあげられる「わからないことを聞く」ためにChatGPTを使うと、インターネット上の正しくないデータも全部教師データとして持ってきてしまいますので、堂々とうそぶくAIみたいなものが見れてしまったりします。要注意ですよ! AIが身近なものになってきている今、ちゃんと理解して、うまく使っていきたいものですね~。